COLUMN
1 オーバーステイ 2 在留特別許可 3 専決通達
4 健康保険 5 タイ国入管で
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☆在留特別許可の流れと最近の許可事例☆

 

 4    オーバーステイと在留特別許可申請
更新日時:
2006/12/22
 
 
1、オーバーステイ
 
(1) もし、あなたに恋人ができて、結婚しようということになったとき、その相手の彼女(彼)がオーバーステイの外国人だったらどうしますか。
 外国人の中には、実は、観光や勉学の目的で日本に来て、そのままオーバーステイになっている人が沢山います。
 そういう人との結婚も、もちろん、法的に認められています。
に記したやり方で、書類を調えて戸籍役場へ提出すれば、戸籍に婚姻の旨が記載されます。
 
 ただし、外国人の恋人(女性)が、前に結婚したことがあると、その離婚(あるいは前夫の死亡など)から、一定期間経過しないと、次の婚姻ができないというのがほとんどの国の立法例です。これを待婚期間と呼んでいます。タイ人女性の場合は、離婚から310日を経過しないと、原則として次の婚姻ができません。これに関して詳しくは、コラム 1 国際結婚(タイ国籍の配偶者)に「3、待婚期間」の項目を設けましたので、ご参照ください。
 
(2) また、コラム1に記載したように、本来なら、タイの住居登録をしている郡役場に外国(日本)での婚姻を報告的に届け出るところなのですが、オーバーステイなどの理由で帰国して本国への届出ができない場合には、在日タイ国大使館へ届け出ることもできます。
<在日タイ国大使館への婚姻届提出書類>
    00/11/16在日タイ国大使館回答
1、パスポート及びそのコピー2通
2、身分証明書(または住居登録証)及びそのコピー1通
3、戸籍謄本(外務省の認証要)及びそのコピー2通
4、写真1枚
5、本国郡役場へ届け出る代理人を選任すること。
 
(3) しかし、婚姻届だけでは当然に、あなたの彼女(彼)は、適法に日本に居住することはできません。
 在留資格取得の手続は別途行わなければなりません。在留資格がなければ、入管法の建前では、強制退去処分になるのが原則です。
 
 
2、在留特別許可
 
(1) しかし、強制退去に該当する外国人だからといって、日本人の配偶者等を直ちに退去させたのでは、円満な家庭生活を破壊することになるし、民法に定める夫婦の同居協力扶助義務や日本が加盟している国際条約にも反することになります。
 
(2) そこで、入管法第50条に
『法務大臣は(中略)その者の在留を特別に許可することができる。 
  ・・・・ (中略) ・・・・
その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき』
とあるところから、現在、法務省は、この条文を根拠にして、真正な婚姻であれば原則として在留特別許可をする方針となっています。ところが、入管当局は実際上このような実務を行いながら、『在留特別許可申請』なる申請手続は存在せず、あくまで、強制退去手続の中での処置との態度を崩していません。この点、もっときちんとした法整備が望まれるところです。
 
(3) この在留特別許可(在特)の申請のためには、一般的に以下のような書類を提出することになっています。ただし、法整備がされず、実務が帰一していないため、時々要求される書類も変わると思ってください。
 1)パスポート及びその写し(本人)
 2)外国人登録証及びその写し(本人)
 3)登録原票記載事項証明書(本人)
 4)婚姻証明書(本人)
 5)住居登録、IDカード等(本人)
 6)陳述書(本人)
 7)履歴書(配偶者)
 8)戸籍謄本(配偶者)
 9)住民票(配偶者)
 10)在職証明書(配偶者)
 11)源泉徴収票(配偶者)
 12)預金通帳及びその写し
 13)スナップ写真2枚以上
 14)建物賃貸借契約書(賃貸の場合)又は不動産登記簿謄本(自己所有の場合)
 15)住宅地図
 16)母子手帳
 17)子の在籍証明書
 18)子の出生証明書等
 19)離婚前配偶者の戸籍謄本
 20)親族の上申書等
 21)証明写真4枚(5cm×5cm)
 
 ここをクリックしていただくと、在特出頭したときに渡される追加書類の一覧表(pdf)をご覧いただけます(2006年12月現在のもの)。
 ここをクリックしていただくと、在特出頭したときに渡されるタイ語による退去強制手続の説明(pdf)をご覧いただけます(2006年7月現在のもの)。
毎週水曜日は第1回目の出頭を認めていませんのでご注意ください。
    
 
 この在特の審査は、関東地区(神奈川県を除く)の場合、現在、
   東京入国管理局
   東京都港区港南5−5−30
   電話03−5796−7111(内線4307)
で扱われています。
 ここをクリックしていただくと地図をご覧いただけます。
 
(4) いわゆる在特出頭(第1回目)したときに入管から渡される注意書は次のとおりです。クリックするとA4版のPDFファイルが表示されます。
 
 
(5) この審査には、現在のところ、最低4ヶ月ないし1年程度は掛かるのが通例です。しかも、在特を申請中であっても、不法滞在の状態が解消されるわけではないので、警察に逮捕、あるいは起訴されることもあります。とにかく、警察や入管の調査が入るような場所には立ち入らないことです。
 在特が許可されれば、日本人の配偶者等の在留資格で1年の滞在が認められ、滞在期間の更新が可能です。
 また、いったん在留資格を認められれば、執行猶予つきの懲役刑を宣告された例などを除き、再入国許可も簡単に下りますので、母国との間を行き来することが可能になります。
 
(6) 保証金について  従来、在留特別許可を得るために、不法残留による出頭をしますと、仮放免の際に保証金を預けていました。ところが、2000年に制度改正があり、職権仮放免制度が導入されました。
    <2000年5月24日 東京入国管理局第二庁舎電話回答>        今年の改正によって職権仮放免制度が設けられ、日本人の配偶者の場合で、信憑性の高い事案は保証金を納めなくて良いことになった。疑問な案件や偽造らしい案件では、保証金を納めさせている。
 
 
3 専決通達
※ 既に改訂された模様だが、改訂後の通達は明らかにされていないというのが現段階での情報です。
 
           【違反審判要領】(法務省入国管理局)
 
第5章 異議の申出
第1節 異議の申出の受理等
第2 専決
  1 専決することができる者            
  主任審査官たる地方入国管理官署(出張所は,下関及び鹿児島に限る。)の長は,次の2に定める在留特別許可について専決することができる。
  2 専決することができる範囲
  (1) 専決できる在留特別許可は,次に掲げるもの以外のもので,(2)に該当するものとする。ただし,(2)に該当しても専決することが適当でないと判断した案件については,進達するものとする。
    ア 政治,外交,治安等に影響を及ぼすおそれがあると認められるもの
    イ 政策決定及び法令の制定改廃に参考となるもの 
    ウ 国会等において取り上げられ,又は新開等で報道されるなど社会一般の関心をひいたもの  
  (2) 次に掲げる者が在留特別許可を希望して異議を申し出た案件
    ア 日本人,永住者又は入管特例法に定める特別永住者(以下「特別永住者」という。)と婚姻している者で,次のすべてに該当するもの
     (ア)違反事実が不法入国,不法上陸又は不法残留(以下「不法入国等」という。)(注)の案件であること。
       (注) 法第24条第1号,第2号,第4号ロ,第6号又は第7号に該当する違反事件をいう。
    (イ) 婚姻に信びょう性及び安定性(注)が認められる者であること。
       (注)例えば,実子を現に監護・養育していること,長期間にわたり別居している者でないこと,送還忌避の手段として婚姻届の提出を行った者でないことなどをいう。
    (ウ) 不法入国等以外に法又はその他の法令に違反しているおそれがない こと。
    イ 難民の認定を受けている者で,次のいずれにも該当するもの
     (ア) 違反事実が不法入国等の案件であること。
     (イ) 不法入国等以外に法又はその他の法令に違反しているおそれがないこと。                      
    ウ 次のいずれかに該当する者
     (ア) 日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約の発効日(昭和40年12月18日)前に不法入国した韓国・朝鮮人
     (イ) 入管特例法第2条に規定する平和条約国籍離脱者又は平和条約国 籍離脱者の子孫に該当する不法残留者 
    エ ア,イ又はウに該当する者の子として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留しており,かつ,その者の監護・養育を受けている者
  3  在留特別許可の手続
   2に基づき在留特別許可をするときは,次の各場合に応じ,それぞれに定める 在留資格を付与し,在留期間は1年とする。
  (1) 日本人の配偶者若しくは民法第817条の2の規定による特別養子又は日本人の子として出生した者 日本人の配偶者等
  (2) 永住者若しくは特別永住者の配偶者又は永住者若しくは特別永住者の子
    として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留している者,永住者の配偶者等      
  (3) その他の者  定住者   
       
 4  1により専決する場合は,法務大臣から在留特別許可の通知を受けた場合と同様に,第6章第1節第1(3)に定める在留特別許可の手続を行うものとする。
 
第6章 裁決 
第3節 裁決の見直しに伴う措置
 
第1 裁決の見直しに関する調査
  1  地方入国管理局等又は客疑者を収容している入国者収容所(以下「入国管理関係官署」という。)の長は,第1節第1(2)により措置された容疑者について,法務大臣から裁決の見直し(注)を検討するため必要な調査の依頼を受けたときは,所属の職員に調査を命じなければならない。
  (注)法務大臣は,原則として裁決の見直しを行うことはないが,案件によっては,判決によって裁決が違法であると判断された場合はもちろん,裁判所における審理の過程において新たな事情が判明した場合などは,裁決を見直し,在留特別許可の許否について再検討することもあり得る。
   なお,裁判が処分の違法性を争うものであり,処分時までに生じていた事情をもとに判断されることとなるので,新たに判明した事情とは,処分時までに生じていたが,処分時には判明していなかった事情をいい,処分後に新たに生じた 事情はこれに含まれない。
    裁決の見直しは,行政法でいう裁決の取消に当たり,裁決の撤回ではない。
  適法に成立した裁決をその後に生じた事情変更を理由に将来に向けて取り消す撤回であれば,取り消す時点までの裁決及び退去強制令書の効力は完全に有効であるので,裁決の見直しはあり得ない。撤回の例である法26条6項の数次再入国許可の取消において,取消までの許可は完全に有効であり許可自体の見直しもあり得ないのと同じである。
 2 1の調査については,法第5章第1節(違反調査)及び第2章第3節第3(入国審査官等の調査手段)に定める方法により,必要な場合は外国語により又は通訳を介して行うものとする(第2章第3節第2参照)が,供述の録取は,容疑者を含めてすべて供述調書を用い,とりわけ次の事情に重点を置いて調査し,裁決後に変化し又は新たに生じた事情についても,参考のため調査するものとする(注)。          
  (1) 退去強制令書発付処分取消訴訟又は無効確認訴訟において原告の請求を認容する判決が確定したことを理由とする裁決の見直し裁決が違法とされた根拠の事情
  (2) 退去強制令書発付処分取消訴訟又は無効確認訴訟の審理の過程において法務大臣の裁決時には判明しなかった新たな事情が判明し,それが判明していれば裁決の結果に大きな影響を及ぼしたことを理由とする裁決の見直し新たに判明した事情
  (3) 退去強制令書発付処分取消訴訟又は無効確認訴訟が提起された後,訴訟上又は事実上の和解が行われたことを理由とする裁決の見直し,和解の契機となった事情
  (4) その他法務大臣の裁決時には判明しなかった新たな事情が判明し,それが裁決時に判明していたならば裁決の結果に大きな影響を及ぼしたことを理由とする裁決の見直し,新たに判明した事情
   (注) 裁決の見直しは,行政法でいう裁決の取消であり裁決の撤回ではないので,裁決後に変化した事情や裁決後に新たに生じた事情は本来考慮されないものであるが,事情の変北により見直した裁決が実態に合わない場合となる可能性(例えば,日本人との婚姻が偽装として理由なし裁決となったが,偽装でないことが判明したので裁決の見直しを行おうとしたところ,裁決後に離婚したような場合)もあるので,参考のため調査するものである。   
 3 1の調査を終えた職員は,別記第15号様式による調査報告書を作成し,供述調書その他の関係書類とともに,所属の入国管理関係官署の長に提出しなければならない。この場合においては,退去システムに入力されているその容疑者に関する情報を調査結果に基づき修正して作成した新たな事件概要書を添付するものとする。
 4 入国管理関係官署の長は,3の提出を受けたときは,法務大臣から依頼のあった事情について調査が十分に行われているかどうかを判断し,必要な場合は補充 調査を指示した上,十分な調査が行われたと認めるときは,関係書類を別記第16  号様式による報告書をもって法務大臣に送付するものとする。
 
第2 見直し裁決の通知を受けた主任審査官の措置
 1 主任審査官は,第1の調査が行われた容疑者について,法務大臣から裁決を見直し,在留特別許可をする旨の通知を受けたときは、第1節第1の(3)及び同節第2に定めるところにより措置するものとする。
 
 
4、健康保険
 
 日本で生活していくに際し、健康保険は大変重要です。
 健康保険にも大きく分けて、国民健康保険と社会保険があります。
 そこで、おもに、オーバーステイの外国人の健康保険についてですが、
 1992年の厚生省通達により、国民健康保険からははっきりと締め出
 された形になっています。
 その通達は、
   「健康保険は、在留資格を持っている外国人のみ」
   「国民健康保険は、在留資格上で1年以上滞在する見込みのある
   外国人に限定する」
としています。 
 この通達は、医療保険を認めると「不法就労を助長するから」という理由を示しています。
 在留特別許可申請者についても、
「在留特別許可申請者は、強制退去の可能性もある。国民健康保険は、地域に一定期間住む見込みがある人が加入できるもので、滞在期限が見込まれない人の加入は認めない」との見解を示しています。
 (ただし、事例は少ないですが、在特申請中に国保が認められた例も報告されています。)
 ところが、社会保険については、本人ではなく、夫が社会保険加入者で、その被扶養者の場合、被扶養者の在留資格の有無について審査されないため、夫の被扶養者として健康保険を認められました。まさに、法の下の不平等に他なりません。
 
 
5、タイ国入管での話
 
 余談ですが、強制退去で、タイに戻った人の話をしましょう。嘘みたいな本当の話というか、いかにもありそうな話というのを紹介します。
 今から1、2年前だと思いますが、他人名義のパスポートで日本に来ていたタイのMISS・Aは、日本の入管に出頭して帰国することにしました。そのとき使った、大使館で発行された「帰国のための渡航書」には、タイ語で、「注意 この者は長く外国にいて、本人かどうかはっきりしないところもあるので、帰国後、身元の確認をされたい」というようなことが書かれており、それを根拠に、バンコク入管でそれなりの取調べがあってもしかるべきだったのです。バンコク空港に降り立ったAに、
バンコク入管係官いわく「急いでいるのかい。ここで終わりにするかい。それとも別室で話をするかい。いくら持っているのかな。」
Aいわく「急いでいます。2万円と1100バーツ持っています。」 
係官「いくら払えるんだい。円で払うかい、バーツで払うかい。」 
A「1万円くらいなら」 
 という問答の末、Aは1万円で入管のゲートをくぐったということです。Aの渡航書には、バンコクの入国印はないそうです。
(成田の出国印はあるのに)
とにかく本当の話で、それがバンコク入管の日常だそうです。
まさか、わが国の入管にはそんなことはないでしょうね。



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