COLUMN
1 タイ国籍 2 日本国籍 3 二重国籍
4 タイ国籍放棄? 5 旅券申請 6 重国籍者の出入国について

 

 3    出生子の国籍と旅券(タイで出生の場合)
更新日時:
2003/07/20
 
 この項目は、日本人とタイ人の間の子供がタイで出生した場合のことを記しています。
 
1、タイ国籍
 
 タイ国籍については、父母の身分証明書のコピーを病院に出せば病院が、出生登録証の作成を代行してくれます。ここには父母の氏名・国籍のほか、タイ国籍を取得したことが記載されています。そのほか、住居登録証に入籍の手続をして、手続は完了です。
 なお、この手続の責任者は、戸主ですから、私のケースでは、妻の父でした。
 
<タイ国国籍法・出生によるタイ国籍取得>
第4条 
1965年付け国籍法第7条を無効とし、次の取決めを適用する。
第7条
 次の者は、出生によりタイ国籍を取得する。
(1) タイ王国内で出生したか、国外で出生したかにかかわらず、タイ国民を父または母として出生した者
(2) 第7条第2項第1段に規定する者を除き、タイ王国内で出生した者
第5条
下記の取決めを1965年付け国籍法第7条第2項として差し替える。
第7条第2項
タイ王国内で出生した者で、その父母がともに外国人であるものは、出生のときに、その法律上の父、あるいは母と婚姻していない事実上の父、又は母のいずれかが次の各号の一に該当する場合には、タイ国籍を取得しない。
(1) 特別な場合として、タイ王国における滞在期間の延長が許可されている者
(2) タイ王国に一時的な滞在が許可されている者
(3) 入国管理法に基づく許可なくしてタイ王国に入国した者
 国務大臣は、適切と判断する場合には、その都度、内閣規定の規則に従い、第7条第2項に該当する者に対しても、タイ国籍を与えるよう判断し命令することがある。その他、該当する法律に基づく命令がなければ、タイ国内に生まれ、第7条第2項によりタイ国籍を取得しなかった者は、入国管理法による入国許可なくタイ国に入国し、滞在している者とみなされる。
___________
 
 一部観光案内などには、タイでは出生地主義と書かれていたりしますが、それは誤りで、基本的に血統主義と理解すればよいと思います。
 以下、ご批判を承知で私見を記載しますと、タイ国が、出生地主義を従的に採用しているのは、北方少数山岳民族対策があるからでしょう。タイ北方には、主として中国系の山岳少数民族があり、彼らは近年までタイの政府とは関係なく生活してきました。彼らを懐柔してタイ国に取り込むため、無国籍である彼らに子供が生まれれば、子供の代でタイ国籍を与えようという政策です。一人前に国籍を与えて人間として扱ってやろうということです。言葉も文字も違う民族に、国籍取得を取引材料にした懐柔政策で、言葉も文字も良くわからない彼らをタイの郡役場の役人が怒鳴り散らすのを見て気の毒に思ったこともありました。
 
 
2、日本国籍
 
 次に、日本国籍の取得手続ですが、これは、第二次的な国籍と扱われているものと思われます。
 手続は、まず、出生届のなされたタイ国市役所で、タイの出生登録証の謄本を作成し、これに和訳文を添付し、在タイ日本大使館に、出生及び国籍留保届を提出することになります。実務上、父の戸籍謄本と母及び出生児の住居登録証謄本も提出すると大使館側が扱いやすいようです。この出生及び国籍留保届は、日本の戸籍役場に提出してもよいように思われるのですが、在タイ日本大使館では、大使館宛に提出するよう指導されます。それは、医師及び病院の証明が、日本の役場ではできないからだと言われています。 
 この手続での日本法の適用条文ですが、国籍法第12条と戸籍法第104条になります。
 条文自体は全部記載しませんが、つまり、
   出生により外国の国籍を取得し、
   国外で出生した場合には、
出生から3ヶ月以内に出生届と同時に国籍留保届を提出しないと日本国籍を喪失する という規定で、いわば、二重国籍に歯止めを掛けているのです。この国籍法および戸籍法の3ヶ月という届出期間限定規定は、うっかりすれば日本国籍を失いかねず、蛇足・無用の規定というべきで、早速撤廃されるべきでしょう。
 私の場合、以上のような手続をして子供を日・タイ二重国籍にしました。
 
 
3、二重国籍 
 
(1) 先ほど記載したように、外国出生、外国籍取得の場合、国籍法および戸籍法が日本国籍を保持しにくくしているのですが、実際上、タイ国籍を取得しないで、日本国籍を取得する手続は(帰化を除けば)見当たらないので、二重国籍にする以外、日本国籍を保持する方法はないようです。
 
(2) タイ国法では、二重国籍を認めるのは満20歳までです。タイ国側では、出生登録証作成後、日本国籍を取得したか否かは確認していないはずですから、22歳まで二重国籍を認める日本国籍との間ではどうなるのでしょうか。妻の住居登録のある郡役場副郡長は、子供が日本で出生した場合には、日本国籍だけで、タイ国籍は与えないと説明していましたが、それは誤りです。在日タイ国大使館に届け出れば、出生登録証を作ってタイ国籍を取得して二重国籍にすることができ、それも日本の戸籍法のように3ヶ月などという限定はつけていません。この点は、<コラム5>出生子の国籍(日本で出生の場合)で、手続を記載します。
 
<タイ国国籍法による二重国籍要件>
第6条
1958年付、国籍法14条の第一段を無効とし、下記の取決めを代用する。
「第14条 外国の国籍の父親の下で生まれ、父親の国籍国の国籍法に基づき父親の国籍を取得する権利のあるタイ国籍者、あるいは第12条第2段の下でタイの国籍を取得するものは、満20歳になった時点から一年以内に省令に規定された書式及び手続きで1つの国籍を選択するように担当官に申請しなければならない。その期間内に申請しなかった場合、国務大臣による命令、その他の命令がある場合を除き、その者はタイ国籍を放棄するとみなされる。
 
 
4、タイ国籍放棄?
 
 もし日本国籍を選択してタイ国籍を放棄せざるを得なくなったとしたらどんな手続が必要か、タイ国大使館に聞いてみたのですが、殊にタイで出生した場合には、書類が山ほど必要で一口では説明できないと断られてしまいました。そうであれば、もし仮に日本の国籍選択宣言をしたとしても、タイ側に何の挨拶もせず、二重国籍のままにして置くのが一番であろうと思っています。両国政府間で、誰々がわが国の国籍を選択したから貴国の国籍は喪失したはずだとは通告しないでしょうから。タイ国籍の保持はそれなりに重要な意味を持ちます。
 万一、子供の父親が早死でもしたら、あるいは離婚でもしたら、母親と子供はタイに帰国するかもしれません。その場合どうしても子供のタイ国籍は必要です。
 ただし、前記3のタイ国国籍法第6条によると、父親が外国人(日本人)の場合、21歳に達したとき、日本国籍を放棄しない限り、タイ国籍を剥奪される可能性が高いと思われます。子供の父親が日本人であることは、出生登録証にも住居登録証にも記載があるからです。
 
 
5、旅券申請
 
 タイで出生の場合、先にタイの旅券を取り、次に日本の旅券を申請することになります。これは、98年に申請したときのデータですので、参考にしてください。
 
(1)タイ旅券申請
 1)住居登録証(母子)
 2)出生登録証(子)
 3)婚姻証明書(父母)
 4)旅券コピー(母)
 5)旅券コピー(父)
 6)身分証明書(母)
以上旅券コピーを除き、いずれも原本を提示してコピーを提出。
タイ国外務省宛て旅券申請をする。
父母子とも出頭。
父母とも署名要す。
受領は一週間後で郵送も可。
費用約1200バーツ。
 
(2)日本旅券申請
 1)戸籍謄本(子の出生の事実が記載されたもの)
 2)写真(3・5cm×4・5cm) 2枚
 3)タイ旅券提示、コピー提出。
以上により、日本文の旅券申請書を日本大使館宛て作成提出。
父の署名押印を要す。
申請、受領とも父出頭。
子は申請時または受領時のいずれか1回出頭。
申請後、中1日で出頭して受領。
費用1300バーツ。
(日本名とタイ名の異なる場合は、別途の書類が必要)
 
 日本の旅券申請のためには、上記2による届出(子の出生の旨)の記載された戸籍謄本が必要になるため、その戸籍記載を待たなければなりません。戸籍記載ができたら知らせてくれるように、戸籍役場に頼んでおくと良いでしょう。
 上記2の出生届から戸籍記載まで、大体1ヵ月半から2ヶ月くらい掛かっているようです。
 
 
6、重国籍者の出入国について
 
 「入国・在留審査要領」 法務省入国管理局
 
第5章 日本人の出国及び帰国(法第60条、第61条)
 
第1節 出国の確認(法第60条)
 
第5 日本国籍を含む重国籍者に対する出国証印
1 入国審査官は、申請人が日本旅券及び外国旅券を併せ所持する日本国籍を含む重国籍者(以下、本章において「重国籍者」という。)であるときは、当該日本旅券に出国の証印(施行規則別記第38号様式)を押なつする。
(注)1) 有効な外国旅券のみを所持する場合であっても、発行後6か月を経過していない戸籍謄本その他の疎明資料により日本国籍も保有することを確認したときは、日本人の出国として取扱い、その者の所持する外国旅券に出国の証印を押す。この場合、出国証印の傍らに「重国籍者」と付記した上入国審査官認証印を押なつする。
   2) 戸籍謄本に氏名が記載されている者であっても、当該本人が自己の志望により外国の国籍を取得したため日本国籍を喪失しているにもかかわらず、単に喪失の届出をしていないために戸籍謄本から抹消が行われていない場合があるので注意を要する。
   また、外国において、出生により外国の国籍を取得し日本国籍との重国籍となっている者又は外国人と婚姻若しくは縁組をしたことにより重国籍となった者については、通常日本国籍離脱の手続きを行わなければ戸籍から抹消されることはないので、これらの者が戸籍謄本に登載されているときは、日本国籍保有者とみなしてよい。
2 入国審査官は、旅券の主たる名義人が外国旅券を所持しており、その併記者が日本国籍を含む重国籍者であることを確認したときは、次の要領により出国の証印を押なつする。
(1) 旅券の主たる名義人及び併記者全員が出国する場合は、1個の出国証印を押なつし、証印欄外に「Valid for ( ) Person」 又は 「 ( ) PAX」 と記載して括弧内に全員の人数を記載する。
(2) 旅券の主な名義人及び被併記者のうち一部の者に対してのみ出国確認をする場合は、1個の出国証印を押なつし、証印欄外に出国の確認を受ける者の氏名を次の例により明示する。
(記載例:Good for Mr.・・・・・,Mrs.・・・・・,Miss.・・・・・and Mr.・・・・・Only)
(3) (1)及び(2)いずれにおいても、出国証印の傍らに「重国籍者」と付記した上入国審査官認証印を押なつする。
 
第2節 帰国の確認(法第61条)
 
第5 特例等
1 日本国籍を含む重国籍者
入国審査官は、重国籍者であるときは、次の要領により措置する。
(1) 日本旅券又はこれに代わる証明書の提示を求め、これに帰国の証印を行う。
(2) 有効な外国旅券のみを所持する場合であっても、発行後6か月を経過していない戸籍謄本その他の疎明資料により日本国籍も保有することが確認できたときは、日本人の帰国として扱い、その者の所持する外国旅券に帰国証印を押なつする。
(注) 1) 入国審査官は、帰国証印の傍らに「重国籍者」と付記した上入国審査官認証印を押なつする。
    2) 戸籍謄本に氏名が記載されている者であっても、当該本人が自己の志望により外国の国籍を取得したため日本国籍を喪失しているにもかかわらず、単に喪失の届出をしていないために戸籍謄本から抹消が行われていない場合があるので注意を要する(第1節第5(注)2)参照)。
(3) 有効な外国旅券のみを所持する者につき、日本国籍を保有する事実を確実な資料に基づき確認することができないときは、外国人としての上陸の申請を受理する。
(注) 本邦上陸後、戸籍謄本その他の国籍保有の事実を疎明する資料を入手して、所持する外国旅券とともに、最寄の地方局又は出張所に出頭の上、これを提示するように指導する。
(4) 入国審査官は、旅券の主たる名義人が外国旅券を所持しており、その被併記者が日本国籍を含む重国籍者であることを確認したときは、第1節第5の2の要領により帰国の証印を押なつする。



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