COLUMN

 

 10    改正道路交通法と国際免許
更新日時:
2005/07/18
 
 
(1) 改正道交法
 
2001年6月13日、改正道路交通法が成立し、2002年6月1日、改正法が施行されました。
 
この改正法により、
<コラム9 運転免許>に記載したように、従前から日本に外国人登録している者が、国際免許により、適法に日本で運転するには、日本から連続3ヶ月以上出国することが要件になりました。
旧法当時のように、
毎年数日間帰国して国際免許を書き換えてくる。
という方法によっては、改正法施行後は、運転できないことになりました。
そもそも、全然帰国しないで国際免許を代理取得して送付してもらう。という方法は法改正に関係なくそれ自体日本法では違法です。
単に国際免許を所持しているから、その有効期限内だからということで運転していますと、改正法施行後は、無免許運転として検挙されるおそれが大きいので注意が必要です。
改正法(警視庁のサイトから) ⇒日英対訳 ⇒日タイ対訳
 
この改正法による国際免許関係の規定は次のとおりです。 
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 第百七条の二中「第八十八条第一項第五号から第七号」を「第八十八条第一項第二号から第四号」に改め、「上陸」の下に「(住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)に基づき住民基本台帳に記録されている者が出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第六十条第一項の規定による出国の確認を、又は外国人登録法(昭和二十七年法律第百二十五号)第四条第一項の登録を受けている者が出入国管理及び難民認定法第二十六条第一項の規定による再入国の許可若しくは同法第六十一条の二の六第一項の規定による難民旅行証明書の交付を受けて出国し、当該出国の日から三月に満たない期間内に再び本邦に上陸した場合における当該上陸を除く。第百十七条の四第一号において同じ。)を」を加え、「、又は」を「若しくは」に改め、「運転する場合」の下に「、又は代行運転普通自動車を運転する場合」を加える。
 
附 則
 (施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第八十五条に一項を加える改正規定、第八十六条に二項を加える改正規定、第八十七条第四項の次に一項を加える改正規定及び第百七条の二の改正規定(「、又は」を「若しくは」に改め、「運転する場合」の下に「、又は代行運転普通自動車を運転する場合」を加える部分に限る。)は、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
 
 (免許等に関する経過措置)
第二条〜第六条まで省略
第七条 この法律の施行の際現に国際運転免許証又は外国運転免許証を所持する者に対する新法第百七条の二の規定の適用については、同条中「出国し」とあるのは、「道路交通法の一部を改正する法律の施行の日以後に出国し」とする。
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出典は、衆議院ホームページより、『道路交通法の一部を改正する法律案』です。
 
なお、旧法の規定は次のとおりです。
______________________
 
(国際運転免許証又は外国運転免許証を所持する者の自動車等の運転)
第107条の2  
道路交通に関する条約(以下「条約」という。)第24条第1項の運転免許証(第107条の7第1項の国外運転免許証を除く。)で条約附属書9若しくは条約附属書10に定める様式に合致したもの(以下この条において「国際運転免許証」という。)又は自動車等の運転に関する外国(国際運転免許証を発給していない国であつて、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図る上で我が国と同等の水準にあると認められる運転免許の制度を有している国として政令で定めるものに限る。)の行政庁の免許に係る運転免許証(日本語による翻訳文で政令で定める者が作成したものが添付されているものに限る。以下この条において「外国運転免許証」という。)を所持する者(第88条第1項第5号から第7号までのいずれかに該当する者を除く。)は、第64条の規定にかかわらず、本邦に上陸した日から起算して1年間、当該国際運転免許証又は外国運転免許証(以下「国際運転免許証等」という。)で運転することができることとされている自動車等を運転することができる。ただし、旅客自動車運送事業に係る旅客を運送する目的で、旅客自動車を運転し、又は牽引自動車によつて旅客用車両を牽引して当該牽引自動車を運転する場合は、この限りでない。
_________________________
 
(2)改正法の要点
この改正法には、考慮すべき点がいくつかあります。
 
第1に、この改正法の内容として一番大きな改正点は、
『上陸』の意義です。
旧法が
「本邦に上陸した日から起算して1年間、当該国際運転免許証・・・で運転することができることとされている自動車等を運転することができる」とあるため、何度でも『上陸』し、その上陸のたびに新しい国際免許証を取得して入国しその国際免許で運転することが、今までは認められていたのです。
それが、この改正法は、
1) 住民票に記載のある日本国籍者
2) 外国人登録ある外国人の再入国許可による再入国
については、出国後、3ヶ月以内に再入国した場合『上陸』と認めないので、母国に3ヶ月未満の期間、帰国して国際免許の再発行を受けてそれで運転するということができないことになります。
そうすると、日本人でも住民票を抹消して出国した場合は、出国期間に関係なく『上陸』の解釈は従前どおりであり、また、新たに入国した外国人の『上陸』も従前どおりの解釈とされるものと思われます。
要するに従前から日本に住んでいる人を対象とした改正法であるということです。
 
第2に、『施行期日』の点です。
「公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。」とありますので、公布日がいつなのか、政令の定める施行日がいつなのかということになります。結局、2002年6月1日施行となりました。
 
第3に、『経過措置』です。
附則7条により
1)施行日に国際免許を所持する者が、
2)施行日以後に出国した、
場合に改正法を適用するという規定があります。
そうすると、
施行日現在において国際免許を所持する者が、施行日前に出国した場合には、この法律の適用はないことになります。ですから、そのとき出国して再取得した国際免許は、再入国が出国から3ヶ月以内でも、その再入国もしくは発給の日から短い方から1年間は、その国際免許は有効ということになります。
一方、施行日現在において国際免許を所持しない者が、施行日前に出国し、施行日以後、出国後3ヶ月以内で再入国した場合には、上記改正法では『入陸』に該当しないので、このとき取得した国際免許では運転できないという解釈になるものと思われます。
ただし、「施行日現在において国際免許を所持」していたかどうかは、発給国のみ知ることで、日本国の主権の範囲外と思われますので、「施行日現在において国際免許を所持」していなかったことの立証は容易でないようにも思えます。
 
第4に、この改正法の施行後の運用ですが、
改正法が施行されて既に3年が経過しました。警察官も改正法を理解していますし、外国人の間からも国際免許は問題だ、日本の免許に切り替えたいという希望が多く聞かれるようになってきています。
警察の摘発方法としては、国際免許無効ゆえに、無免許運転(道交法違反)で検挙するということになろうと思いますが、無免許運転だとすると故意犯ですから、無免許運転の認識と認容が必要になります。
「法改正を全く知らなかった。外国の国際免許で適法に運転できると信じていた」として検挙後不起訴になっている事案もあります。しかし、改正法が一般に周知されてきていることから、今後は「知らなかった」で通らなくなる可能性のほうが高いであろうと思われます。
なお、無免許運転についても、今回の改正法で最高刑が懲役6ヶ月から懲役1年に引き上げられました。仄聞するところでは、1回目の無免許運転の相場は、「罰金20万円」だそうです。その上さらに、行政処分として無免許運転の履歴がある者は試験に合格しても、免許拒否される場合があります。
 
(3)対処法
<コラム9 運転免許>にも記載しましたが、国際免許の利用はすこぶる難しくなりました。<コラム10-2 外国免許からの切替試験>による方法を是非お勧めします。別途詳述しますが、タイの国内免許を取得後、合算で3ヶ月以上タイに滞在すれば、日本の免許への切替え試験の受験資格が得られます。



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